ここでいう専門性とは、特に要件定義をサポートするような場合は、プログラムやサーバ、ネットワークのことだけでなく、システムの使い勝手や、それを使った業務の流れをイメージできることでもある

今回の裁判は、「ベンダーの専門性」というものが、ベンダーが考えるよりも広く捉えられる可能性があることを示しているように思う。ここでいう専門性とは、特に要件定義をサポートするような場合は、プログラムやサーバ、ネットワークのことだけでなく、システムの使い勝手や、それを使った業務の流れをイメージできることでもある。そして、そうして実現した業務の姿が、その先にある「契約の目的」の達成に資するものであるのか、そうした物差しもベンダーは持っていなければいけない。  例えるならば、家を建てるとき、施主が1階の部屋を広くしたいから階段の傾斜をきつくしようと言い出しても、建築家は「そんなに急な階段を作ったら、年をとったときに困りますよ」と進言して思いとどまらせる。そんなことが専門家には必要だということではあるまいか。  随分と専門性を広く捉えているように思われるかもしれないし、私の中にも、そうした思いはある。ただ、翻って考えてみると、今後のITエンジニアにはそうしたスキルこそが必要となるのかもしれない。

引用元:https://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/2105/31/news009_5.html