バーネイズの「Propaganda」はPR会社のやり方を理解する上でも参考になる

エドワード・バーネイズは心理学者ジークムント・フロイトの甥として生まれた。彼は著書「Propaganda」にてマスメディアによる世論形成の手法を今から80年も前に記した。そして、今日のマスコミによる広報・宣伝の技術や目的は本質的に当時と変わっていない。

バーネイズはパブリック・リレーションズ(PR)という職業を確立させた第一人者である。パブリック・リレーションズとは、企業や集団の広報・宣伝を担当する仕事で、それはいわば「イメージ戦略」による「世論操作」の専門職といえる。

事実、バーネイズは「イメージこそが重要であり、そのイメージは工夫次第でいくらでも作り出すことが出来る」という思想のもとに数々の世論操作を行った。

・精肉業者の依頼を受け、ベーコンが売れるように「ベーコンは健康に良い」と医者のコメントを紹介しベーコンが飛ぶように売れた(あるある大辞典の納豆ダイエットもこの手法)。リンク

・ピアノメーカーの依頼を受け、「音楽ルームのある家」を有名なデザイナーに設計させ「マイホームには音楽ルームを設け、そこにはピアノを置くのがステータス」というトレンドを形成。ピアノが売れた。156278、リンク

・タバコメーカーの依頼を受け、女性への市場を広げた。「タバコを吸って痩せよう」「女性がタバコを持つ姿はたいまつを掲げた自由の女神だ」とアピールし、タバコを女性解放の象徴と位置づけ、有名女優らに歩きタバコでニューヨークを行進させた。さらに、そのタバコのパッケージが緑色だったため、緑色の洋服を流行らせ、そのタバコが大人気に。

等など。

バーネイズが「Propaganda」を記した1920年代のアメリカは、大企業による大量生産・大量消費による好景気に支えられていた。その大企業の利益第一に応える「見えない統治機構」こそが、自分達パブリック・リレーションズであるとその著書で宣言している。

さらにこの手法を応用して、戦争プロパガンダ(第一次大戦でドイツ兵への野蛮イメージを植えつけた)や反共プロパガンダ(グアテマラのクーデターへの加担)など政治面における世論操作をも担ったのである。この戦争プロパガンダ手法はそのままイラク戦争へも応用されている。

そして日本における今日のマスコミ共認支配の仕組みも、このバーネイズの理論が基礎となっている。

そのポイントは概ね以下にまとめられ、現在のPR会社のやり方を理解する上でも参考になる。

1.目的を明確化せよ
2.徹底的に調査を行え
3.調査で得られた結果に基づいて目標に修正を加えよ
4.戦略を立案せよ
5.テーマ、シンボル、宣伝文句(キャッチフレーズ)を決めよ
6.その戦略を実行するために(第三者による)組織を立ち上げよ
7.タイミングと具体的なやり方を考えよ
8.プランを実行に移せ

(参考:プロパガンダ教本 エドワード・バーネイズ著 中田安彦訳・解説)

引用元:http://yaruo.tumblr.com/post/177092055984