「熱心な医師」と働くと、勝手に起爆装置入れた地雷をこっちに放り投げてくるから、おっかなくてそばに寄れない

研修医の昔、病院長からは「お金を稼げる医師になりなさい」と習った。誰もがどこか過剰な、教育熱心で暑苦しい病院だったけれど、研修医はそれでも、「いい医師に」とか「正義の医師に」とか、そういう指導は受けなかった。当時はよく分からなかったけれど、今にして思えばそれが正しいのだと思う。 やりがいとか使命感、道徳や正義を研修医に強要する人は、教育の場から離れたほうがいいように思う。「熱心な医師」は「致命的な誤りを前に止まれない医師」であることが多くて、そういう人と働くと、勝手に起爆装置入れた地雷をこっちに放り投げてくるから、おっかなくてそばに寄れない。 これが研究者ならまた異なってくるのだろうけれど、臨床を安全にやっていく上では、「後ろ向きに抜け目なく」という態度がいいのではないかと思う。患者さんに関わる誰もが「保身第一の屑野郎」ばかりになるだけで、回避できる医療事故はけっこう多い。 「損得で行動しろ」という教えは、「道徳を無視しろ」という教えとは全く異なる。道徳は、「得」を獲得しに行くときにはとても役に立つ道具になるし、道徳を外さず行動することで目先の得を逃がしても、将来的に大きな得を獲得できる可能性を高めるのなら、そうした行動は損得勘定においても正しい。

引用元:http://yaruo.tumblr.com/post/173325965754